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スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」「大人のブルーハーツ」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた最新刊「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)が絶賛発売中。最新刊「日本ポップス史 1966-2023: あの音楽家の何がすごかったのか」が11月10日に発売。ラジオDJとしても活躍。

パニック映画ブームの陰でエロチック需要を掘り起こした

公開日: 更新日:

 そんな75年における映画界のホープといえば、何といっても山口百恵だろう。

 三浦友和との共演作であるお正月映画「伊豆の踊子」、春公開「潮騒」に加え、桜田淳子森昌子との「花の高2トリオ 初恋時代」をヒットさせているのだから、もはや東宝のドル箱スターだったといっていい。

 あとアダルトビデオの影も形もない時代、映画には「エロチック需要」も寄せられていた。

 洋画ではそういう需要を一気に掘り起こした「エマニエル夫人」が大ヒット、邦画では、関根恵子や大竹しのぶのそういうシーンが話題となった「青春の門」が注目される。

 そんな中、専門外ではあるが、私の見た範囲で75年ベスト作品を選ぶなら、7月公開の高倉健主演「新幹線大爆破」を推したい。

 リアルタイムではなく、かなり後に見たのだが、我を忘れて夢中になってしまった。

 タイトルにあるように、これもパニック映画の一種なのだが、オイルショック後というタイミングで、高度経済成長の負の側面もしっかりと描かれていて、パニック、スリル、サスペンスを超える総合的な見応えを感じたのである。

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