パニック映画ブームの陰でエロティック需要を掘り起こした
そんな75年における映画界のホープといえば、何といっても山口百恵だろう。
三浦友和との共演作であるお正月映画「伊豆の踊子」、春公開「潮騒」に加え、桜田淳子、森昌子との「花の高2トリオ 初恋時代」をヒットさせているのだから、もはや東宝のドル箱スターだったといっていい。
あとアダルトビデオの影も形もない時代、映画には「エロチック需要」も寄せられていた。
洋画ではそういう需要を一気に掘り起こした「エマニエル夫人」が大ヒット、邦画では、関根恵子や大竹しのぶのそういうシーンが話題となった「青春の門」が注目される。
そんな中、専門外ではあるが、私の見た範囲で75年ベスト作品を選ぶなら、7月公開の高倉健主演「新幹線大爆破」を推したい。
リアルタイムではなく、かなり後に見たのだが、我を忘れて夢中になってしまった。
タイトルにあるように、これもパニック映画の一種なのだが、オイルショック後というタイミングで、高度経済成長の負の側面もしっかりと描かれていて、パニック、スリル、サスペンスを超える総合的な見応えを感じたのである。