「時代に挑んだ男」加納典明(54)共感されないことに快感がある。やばいでしょ、1億総共感の社会は
このままだと様々な文化が消えちまう危険がある
加納「そうですよ。本当。一閃でもいいですよ、刀の一閃のような言葉。それが20字なのか50字なのか、30字なのか、色々あっていいと思いますよ。で、それに注釈を全部つけても、それはそれでいいかもしれないし、共感のためじゃないように。うん。わからない方がいいでしょうね。読んだ人は『何を言いたいんだよこいつ』って。『わけわかんないよ』って。そういうことでいいんじゃないかな」
増田「そうですね。『共感共感』って言い過ぎなんですよ」
加納「ところで、今、日本で売れてる作家って誰なんですか?」
増田「東野圭吾さんとか宮部みゆきさんとか、昔から売れてる人はずっと売れ続けてます。もちろん村上春樹さん(※)もそうです。村上春樹さんにお会いしたことありますか?」
加納「いや、ないですね」
※村上春樹:1949年生まれの小説家。1979年『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞してデビュー。1987年に発売された『ノルウェイの森』が1000万部を超える大ベストセラーになる。2006年にはチェコのカフカ賞をアジア圏で初受賞。ノーベル文学賞に最も近い日本人だと言われている。