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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

“永遠のお嬢さん”石田ゆり子が「コントレール~罪と恋~」で魅せた新境地

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 たとえば、14年の岡田恵和脚本「さよなら私」(NHK)。高校時代からの親友同士が41歳になって再会する。石田は独身の映画プロデューサー、永作博美は専業主婦だ。ところが、ふとしたきっかけで永作は夫(藤木直人)の浮気相手が石田であることに気づく。

 2人は言い争うが、突然互いの心と体が入れ替わってしまう。しかも、永作の体(心は石田)が、がんに侵されていることがわかるのだ。難しい役柄だったが、石田は果敢に挑んでいた。

 そして「コントレール」では、石田が演じる45歳の未亡人が何とも魅力的だった。自分の思いを表に出すこともなく、淡々と日々を送る文。しかし、その胸の内には熱い心が封印されている。息子を抱えた母親としての自分と、一人の女性としての自分。その葛藤に揺れながらも、動き出した情念を抑えきれなくなる。鏡の前で、久しぶりにルージュを手にする微妙な表情など絶品だった。

 瞭司にとっても、出会ってはならなかった女性との危うい恋だ。失声症だった瞭司が、ベッドの上で文の名を呼べた時の戸惑いと喜び。脚本の大石静はその複雑な心情も丁寧に書き込んでいく。

 大人の女性の内なる「清純とエロス」を、抑制の利いた演技で表現する石田。鮮やかな軌跡を残し、やがて消えていくコントレール(飛行機雲)から目が離せなかった。

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