名バイプレーヤー斉藤暁さんが演じた「とっておきのワンシーン」を語る
高倉健さんを思いながら作った歌「雲が流れて…」
撮影がない時は東映京都撮影所の敷地内の俳優会館で汗を流していました。俳優会館には衣装室やメーク室などがありますが、役者の控室にもなっていて2階は大御所、3階は脇役、4階は大部屋の俳優の控室、その4階に役者たちのジムがあり、高倉健さんも他の役者たちと一緒にトレーニングをしていたそうです。そこには今も高倉健さんが使っていたダンベルとかマットとかも残っています。壁にはもうセピア色になった健さんの思い出の写真が一面に飾られていて、僕はそこにひとりで行ってトレーニングするのが好きでした。窓から遠く嵐山の山並みが見え、撮影所の全体の様子もわかる。健さんがここで黙々とトレーニングしていたんだろうなと思うと、感慨深かったですね。
そしてそれを思いながら作った歌があるんです。詞も曲も自分で作りました。僕はトランペットを吹くので、老人施設の慰問などでは歌を歌ってトランペットも吹いています。
雲が流れて ちぎれ雲
陽に焼けた壁に スターの写真
ケンタカクラの眼差しが 遠くを見つめていた
風が吹いてた すすき野原に
風はすすきを倒していったよ…
という歌です。その部屋からは雲がよく見えるんです。健さんはあの雲を見ながら、みんなのためにずっとスターで居続けたんだ……。そんなことを考えていましたね。
■北村総一朗さん91歳、小野武彦さん84歳。72歳の僕はまだ小僧っ子扱いです
公開中の「踊る大捜査線」では今回も元湾岸署の北村総一朗さん、小野武彦さんと僕の3人で「スリーアミーゴス」として出演しています。私は「スリーアミーゴス」は「北村劇団」と思っています。以前県警が図書券を賭けて麻雀をやっていたという騒ぎがあったのをご存じですか。北村さんは現実はきっとこうだろうなと、それを「スリーアミーゴス」に置き換え、僕たちだったら、とシーンを膨らますことをとても深く考えていました。そして何回も何回も何回も、裏でそのシーンのアドリブ入りの練習をするわけです。
私たちは緊迫するストーリーの中で緩衝材になっているんでしょうね。それが「スリーアミーゴス」。北村さんは新劇出身で演劇の基礎をきっちり学んだ人なのに、面白くしようとしてアドリブを考える。僕はそんな北村さんや小野武彦さんに乗っかっているだけです(笑)。北村さんは91歳、小野さんは84歳、僕は72歳です。北村さんには70代はまだ小僧っ子だぞと言われています。
(聞き手=峯田淳)



















