壁一枚隔てた隣室は別世界…マンション小説特集(1)集合住宅ならではのトラブルとどう戦うか
「埼玉マンション物語」篠田節子著
都会のマンションでは隣に誰が住んでいるのか分からないことも珍しくない。一方で、限られた居住空間を分け合って暮らすことには変わりなく、プライバシーの境界線には集合住宅ならではの緊張感が漂う。今回は、実話をもとにしたホラーや中国の不動産事情を描く物語など、マンションが舞台の4冊を紹介する。
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「埼玉マンション物語」篠田節子著
小坂香織は36歳の実家暮らしの独身女性。両親を相次いで亡くしたあと、狭い団地に住む4人の子持ちの妹から、実家を相続したいと言われる。
「ひとりでどうやってこの広い家に住むの?」という言葉にカチンときた香織は遺産と預金を頭金に、30年ローンで3LDKの分譲マンションを購入。妹に優雅な独身ライフを見せつけるつもりだった。ところがある日、隣人が自殺を図る。しかも、自分で全身を切りつけたらしく部屋は血の海で、一躍“事故物件”となってしまう。さらに、空き部屋となった隣室にヤクザが出入りするようになる。すぐにでも引っ越したかったが、30年ローンの部屋を簡単に手放せるわけもない。何とか耐え抜いた香織だが、今度は管理組合の理事長にされてしまう。やがてマンションに手抜き工事の疑いが見つかり、調査を始めるのだが……。次々に問題が襲いかかるが、なぜか“マンション暮らしも悪くない”と思わせる、痛快な物語だ。 (光文社 1980円)



















