【うつ病】会社という組織がなければ病気と闘えなかった

公開日: 更新日:

 かつて「心の風邪」などと軽く扱われてきたうつ病。その後、薬剤投与など医療による根治療法がないことが分かり、治療は混迷している。いまのところ最良の治療は時間をかけることで、「自然治癒」こそが理想だ。

 東京・板橋区内に住む越川正則さん(仮名・62歳=人材派遣会社顧問)も、10年前に「東京医科歯科大学付属病院」(御茶ノ水)で診察を受けたとき、担当医から「治るまで数年は覚悟して。ただ焦ることなく、自分で脱出する糸口を見つけてください」とアドバイスを受けた。

 結局、数年どころか、症状が目に見えて良くなった今年の春先まで、ほぼ10年の歳月が流れた。この間、症状として「不眠」に続いて「食欲」も失った。独身の越川さんは手料理が自慢で、フランス料理にも挑戦していた。だが、その料理作りが面倒になる。ごはんすら炊かなくなった。

 朝方、眠れないまま起きてテーブルの前に座るが、何か食べようという気が起こらない。コンビニで購入した弁当を無理に食べようとしたが、半分も食べないうちに、顔から汗が噴き出した。

 夜、テレビを見ながらビールを飲んでみても、味がない。好きだったサケのおにぎりを食べても同じである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理