著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

虫歯菌が脳出血の原因なのか

公開日: 更新日:

 虫歯は「ミュータンス菌」という細菌による感染症で、通常は口の中だけの問題だと考えられています。ところが、「虫歯が多いと脳卒中の危険性が高まる」という複数の報告があります。その原因は不明ですが、ある日本の研究グループは、「特殊な虫歯菌が血液から脳に入り込み、脳の血管の内側にくっついて、そこで病気を起こし、血管をもろく出血しやすい状態に変えるのではないか」という興味深い仮説を提唱しています。

 これが、コラーゲン結合タンパク質を持つミュータンス菌です。コラーゲンというのは体の中にある繊維で、歯の象牙質という部分にあり、血管の壁の中にもあります。ミュータンス菌が、このタンパク質を持っていると、血管の壁にくっついて、そこで炎症を起こす可能性があります。細菌が結合した血管はもろくなり、出血しやすくなると考えられているのです。

 最近の研究では70歳くらいの成人279人の調査で、4分の1の人がコラーゲンに結合しやすいミュータンス菌を持っていて、持っていない人と比べて「14倍以上も認知症につながるような小さな脳出血が起こりやすかった」という結果が報告されています。

 ミュータンス菌が人間の脳で見つかっているわけではないので、虫歯が脳出血の原因とはまだ言えません。ただ、研究が進めば、「脳を健康に保つためには虫歯を予防しよう」という時代になるかもしれません。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る