「記憶」は失われても「感情」は残る

公開日: 更新日:

 うれしい、悲しいというような出来事の「記憶」と、実際に体感するうれしい、悲しいという「感情」は密接に結びついているように思われます。たとえば、大切な人との別れが悲しいというような感情は、その人との大切な記憶が存在するからなのだといえます。

 記憶を喪失していく病気にアルツハイマー型認知症があります。病状が進行するにつれて記憶の保持が困難になっていきますが、こうした患者では同時に感情も消えてしまうのでしょうか。

 アルツハイマー型認知症患者17人と、比較をするための健常者17人を対象として、記憶と感情について検討した研究が、2014年9月、認知行動と脳神経に関する学術専門誌に掲載されています。

 この研究では、被験者に、悲しみや幸福の感情を体感させるための映画クリップ(悲しみを誘導する映像と幸福を誘導する映像)を見せ、悲しみ、幸福、それぞれの感情の変化と記憶の状態について調査しています。

 研究の結果、認知症患者では悲しみ、幸福に関する映像の記憶をひどく損なっていました。認知症患者のうち4人は、悲しみを誘導する映像の事実、詳細を思い出すことができず、さらに映像を見たことさえ覚えていなかった患者もいました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  3. 3

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  4. 4

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 5

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  1. 6

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  2. 7

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  3. 8

    桑田真澄が「KKドラフト」3日後に早大受験で上京→土壇場で“翻意”の裏側

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  5. 10

    「時代に挑んだ男」加納典明(38)同年代のライバル「篠山紀信と荒木経惟、どっちも俺は認めている」