著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

なぜ自宅で過ごすことを決め、理想の最期が「家」なのか…患者に確認する

公開日: 更新日:

 さまざまな患者さんと接する中で、まず最初に確認する大切なことは、なぜ患者さんが自宅で過ごすことを決め、理想の最期が家なのかというその理由なのです。

 それは時に本人のささいな生活習慣であったり、その人の人生における大切なこだわりだったりします。その理由を知ることは、患者さんの思いに寄り添い共感し、ともに在宅医療を行う上で、大切な作業だと言えます。

 肺がん末期の男性患者さん(84歳)がいました。1人暮らしの家の中は物であふれ、床は足の踏み場もないほど。トイレまでは伝い歩きで、食事は固形物は食べられませんがプリンやゼリーは食べられる程度。

 友人が多く、人の出入りもある状況でした。その患者さんは近所でも評判なほど囲碁将棋が大好きな方でした。

 当初は主治医ですら在宅での治療は難しいと判断していましたが、最期まで碁盤に触れ、囲碁将棋のテレビ番組を見て自宅で過ごしたいからと自宅での治療を望まれたのでした。

 その患者さんは独居とはいえ、私たち訪問診療はもちろん、ご友人との関わりもあります。実際、患者さんの友人から「あいつが昨日からご飯を食べられなくて、熱もあって、ちょっと調子悪そうなんだよね。俺たちは10年来の友達だからわかるんだよ」という連絡をいただいたこともありました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    菊乃井・村田吉弘さんが日本食の高級化に苦言…「予約が取れない店がもてはやされるのはおかしい」

  1. 6

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

  2. 7

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  3. 8

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  4. 9

    【埼玉・八潮市道路陥没「2次被害」現場ルポ】発生2週間、水は濁り死んだ魚が…下水放流地で見た河川の異変

  5. 10

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」