著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

喫煙本数が少なければタバコは体に害はない?

公開日: 更新日:

 喫煙が健康に悪影響を与えることはご存じかと思います。しかし、「喫煙本数が少なければそれほど害はないのではないか」と考えている方もおられるでしょう。英国医師会誌電子版に、喫煙本数の少ない人における心臓病脳卒中のリスクを検討した研究論文が2018年1月24日付で掲載されました。この研究は過去に報告されている55件の研究を統合解析したもので、喫煙本数が1日1本の場合のリスクと、1日20本の場合のリスクを喫煙未経験者と比較して男女別に解析しています。

 その結果、男性において、心臓病のリスクは、1日1本の喫煙で1.74倍、1日20本の喫煙で2.27倍でした。脳卒中のリスクも同様に1日1本の喫煙で1・30倍、1日20本の喫煙で1・56倍となっています。また女性においても、心臓病のリスクは1日1本の喫煙で2.19倍、1日20本の喫煙で3.95倍、脳卒中のリスクは1日1本の喫煙で1.46倍、1日20本の喫煙で2.42倍でした。

 たとえ1日1本の喫煙だったとしても、喫煙未経験者に比べて心臓病や脳卒中の発症リスクは統計学的にも有意に増加し、そのリスクは1日20本喫煙する人のリスクの約5割に匹敵することが示されています。言い換えると、たばこを1日20本吸っている人が、1日1本に減らしたとしても、リスクは20分の1になるのではなく、半減するにとどまるということです。

 たった1本でもリスクが増加するというこの論文結果は、心臓病や脳卒中のリスクを増加させないような安全な喫煙本数が存在しないことを示しています。心臓病や脳卒中のリスクを増加させないためには、喫煙本数を減らすのではなく、やはり禁煙することが大切なのでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?