<8>食事や運動でがん発症リスクが下げられるのはなぜか?

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 つまり、すべての事柄がDNAの塩基配列のみによって決まるのではなく、後天的な要因によって遺伝子が表現するものが違ってくることがあるのだ。

 一番わかりやすい例が双子のがんだ。同じ遺伝子を持つ双子で、生涯を通じて同じような地域で同じような生活習慣をしていても、必ずしも同じがんになるわけではない。

 また、食べ物や生活習慣が違っただけで病気のなりやすさ、寿命が大きく変わることがある。典型は沖縄県民の平均寿命だ。

 長年、国内有数の長寿県だったが、2005年まで首位をキープしていた女性は15年の調査では第7位に、男性は2000年に26位に転落。男性はその後も下位に低迷している。15年の年齢調整死亡率では、肥満などが原因で発症する肝疾患の死亡率は男女ともワースト1位、女性の糖尿病もワースト1位になっている。その原因は食事の欧米化にあるといわれている。

「わずかの年数でこれだけ平均寿命が変わったのは遺伝子が突然変わったわけではないでしょう。食生活の変化などによるエピジェネティクスの影響が出たからだと思われます」

 遺伝的に同じがんリスクがあっても、がんになる人とならない人がいるのは、このエピジェネティクスによるものだ。

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