肺がんⅢ期も治療可能に 「放射線・抗がん剤治療」最前線

公開日: 更新日:

免疫チェックポイント阻害剤も注目

 そこで今、期待が高まっているのが免疫チェックポイント阻害剤だ。免疫細胞の攻撃を阻止するPD―L1、PD―L2という“免疫チェックポイント”を阻害する薬で、前述の通り、Ⅳ期では適用。がん増悪を抑制し、生存期間も延びた。

 研究の結果、Ⅲ期でも免疫チェックポイント阻害剤を投与した群は、従来の抗がん剤治療群に比べて死亡リスクを有意に低下させた。

「また、放射線照射でPD―L1の発現レベルが高くなり、放射線と免疫チェックポイント阻害剤を一緒に行うと生存期間が延びることが分かりました。さらにアブスコパル効果といって、放射線療法で抗腫瘍免疫反応が誘導され、免疫系が活性化し、がんを攻撃しやすくなった。Ⅳ期よりがんの量が少ないⅢ期では、免疫療法の効果がより期待できる。この20年、Ⅲ期に対していい治療が見いだせませんでしたが、ようやく有効な治療が患者さんに届けられるようになるかもしれません」

 まだ臨床応用にはなっていないが、そう遠い先のことではないだろう。

 肺がんは組織型で「小細胞がん」「非小細胞がん」に分かれる。非小細胞肺がんは、肺がんの85%を占める。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い