寝ている自分が真上に…幽体離脱は脳の病気かもしれない

公開日: 更新日:

「自分が寝ている姿を真上から見た」──。俗に言う幽体離脱は脳科学では体外離脱体験と呼ばれる。一部の脳損傷患者に見られると言われているがなぜなのか。情報通信研究機構・脳情報通信融合研究センターの羽倉信宏氏が言う。

「体外離脱体験は右半球の側頭頭頂接合部が関与していると言われています。自分を中心に据えた視点の形成、自己と他者の分離などの働きがあるといわれますが、明確にはわかっていません。ただ、視覚情報と体性感覚情報を統合する機能があるとされるため、そこが障害されると、自分の見ている場所と自分の体の位置感覚とのずれが生じ、体外離脱体験が起きると言われているのです」

 側頭頭頂接合部はほかに身体のバランスを伝える前庭系の入力を処理する働きもある。そのためバランス感覚のずれによっておこるという考えもある。平衡感覚の元になる情報は、耳の中にあって頭部の位置と体の傾きを感知する前庭嚢と回転加速度を感知する半規管が受け取る。それらの情報が脳に伝えられ、全身の傾きや位置などを知覚する。体外離脱経験はこのシステムの異常によって起こるという。

脳卒中など脳の循環器系の疾患で側頭頭頂接合部が障害され体外離脱体験が表れる場合があるほか、てんかんの手術でこの部分に電気刺激を与えると生じることが知られています」(羽倉氏)

 何度も幽体離脱を経験する人は脳に病気があるのかもしれない。覚えておこう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々