肺がん根治目指す 初の免疫チェックポイント阻害剤が登場

公開日: 更新日:

「T細胞は、がん細胞への攻撃を始めてしばらくすると、攻撃が暴走しないように細胞の表面にブレーキ役のPD―1受容体を発現させます。その時、がんやその周辺の微小環境の細胞は、T細胞からの攻撃から逃れるために細胞表面に多数のPD―L1を発現させるのです。両者は鍵穴と鍵の関係にあり、結合するとT細胞によるがん細胞への攻撃にブレーキがかかります。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞がこの仕組みを利用して免疫から逃れるのを防ぐ薬です」(一石教授)

 オプジーボはT細胞側のPD―1を、イミフィンジはがん細胞側のPD―L1を阻害する。素人目には「どちらであれ、T細胞が力を取り戻してがん細胞を攻撃することに変わりはない」と思ってしまう。しかし、両者には微妙な差がある。

「T細胞などの免疫細胞の働きを抑制する免疫チェックポイントは何種類もあって、PD―1はPD―L1だけでなくPD―L2と結合し、PD―L1はPD―1のほかにB7―1に結合すると考えられています。つまり、薬を使った場合、若干の阻害の違いがでてくるのです。今後の方向性としては併用すると、より多くの免疫チェックポイントを阻害できるわけで、思わぬ効果が得られる可能性があるのです」(一石教授)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    コメ増産から2カ月で一転、高市内閣の新農相が減産へ180度方針転換…生産者は大混乱

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  4. 4

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  5. 5

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  1. 6

    小泉“セクシー”防衛相からやっぱり「進次郎構文」が! 殺人兵器輸出が「平和国家の理念と整合」の意味不明

  2. 7

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  3. 8

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  4. 9

    元TOKIO国分太一の「人権救済申し入れ」に見る日本テレビの“身勝手対応”

  5. 10

    “気分屋”渋野日向子の本音は「日本でプレーしたい」か…ギャラリーの温かさは日米で雲泥の差