体内では毎日無数のがんが出来るのに健康でいられる理由

公開日: 更新日:

 ノーベル医学生理学賞の受賞でがん免疫療法が話題だ。今週はがんと免疫について考えてみたい。ヒトの体の中では毎日無数のがん細胞が生まれる。にもかかわらずがんにならないのは、がん免疫監視機構があるからだ。免疫とは「自己と非自己を区別して、非自己を排除する仕組み」であり、自然免疫と獲得免疫に大別される。

 自然免疫はもともとヒトに備わっているもので、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞などを指す。細菌やウイルス成分など異物と結合する受容体を細胞表面に持ち、攻撃すべき目標(抗原)を認識すると活性化し、異物を攻撃する。

 一方、獲得免疫は異物に対して後天的に形成される免疫反応のこと。B細胞とT細胞が中心で、B細胞は抗原を認識するとそれと特異的に反応する抗体物質をつくり、その物質は抗原に結合して抗原を持つ細胞を除去する。T細胞は直接、抗原を攻撃する。

 ちなみに、獲得免疫には自然免疫と違って免疫記憶があり、異物への攻撃を終えたT細胞はメモリーT細胞として体の中に長期間存在する。はしかの病原体から作ったワクチンを打つとはしかになりにくいのは、はしかのワクチンを抗原として記憶したT細胞がメモリーT細胞となって体内にとどまる仕組みを利用しているからだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも