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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

英医学誌に注目研究 生活習慣病の薬と発がんリスクの関係

公開日: 更新日:

 高血圧は、心筋梗塞脳卒中などを引き起こす生活習慣病です。患者数は4300万人と推計されていますから、厄介な血管病の予防で、降圧薬を飲んでいる人は少なくないでしょう。そんな高血圧を巡って、がんとのかかわりを指摘する論文が発表されました。

 10月24日付の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」(BMJ)に掲載されたもの。内容を簡単に紹介すると、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用すると、肺がんのリスクが増すというのです。ちょっとショッキングでしょう。

 ACE阻害薬は、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)やカルシウム拮抗薬、利尿薬と並んで高血圧治療ガイドラインに定められた第一選択薬のひとつ。ポピュラーな薬で、大体10人に1人が服用しているといわれます。ポピュラーな降圧薬ですから、この読者も飲んでいるかもしれません。

 論文をまとめたのは、カナダの研究グループ。1995年から20年にわたって英国の高血圧患者99万2000人を追跡したところ、ACE阻害薬を服用したグループは、ARBを服用したグループに比べて肺がんの発症率が14%高かったのです。その傾向は長く服用しているほど強く、10年超服用すると、発症率は31%に上がると報告しています。

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