著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

東大病院のマイトラクリップによる死亡事故で考えられること

公開日: 更新日:

 昨年末に心臓手術での死亡事故が発覚した京大付属病院に続き、今度は東大病院で死亡事故が起こったことが明らかになりました。

 昨年9月、拡張型心筋症と僧帽弁閉鎖不全症を患っていた41歳(当時)の男性患者に対して行われた「マイトラクリップ」と呼ばれる最先端のカテーテル治療が術中に中止され、男性患者は術後の10月に亡くなりました。東大病院は日本医療安全調査機構に報告して審査を受け、東京都は立ち入り検査を行って安全が確認できるまでマイトラクリップによる手術を中止するよう指導しています。

 拡張型心筋症は心臓が通常より肥大化して血液を心臓からうまく送り出せなくなり、うっ血性心不全を起こして突然死を招くこともある疾患です。僧帽弁閉鎖不全症は心臓の中にある僧帽弁がうまく閉じなくなって血液が逆流してしまうもので、拡張型心筋症が進んだ患者さんに起こりやすい疾患です。

 僧帽弁閉鎖不全症が進むと、心房細動を発症して慢性心不全に移行したり、ペースメーカーが必要になるような不整脈を起こします。さらに重症化すると発症から10年間で9割が心臓死するか、外科手術を受けるほど悪化してしまいます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情