著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

若い世代に増加中の「梅毒」は心臓にも深刻な状態を招く

公開日: 更新日:

 ここ数年、日本では性感染症の「梅毒」が増えています。1990年代以降は患者数が年間1000人を下回っていましたが、2010年ごろから増え始め、17年には44年ぶりに感染者が5000人を突破。18年は6900人を超え、現行の集計方法になってから最多の感染者数を記録しました。梅毒は、スピロヘータ科に属する「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染することで起こります。主に保菌者との性行為によって接触した粘膜や皮膚の小さな傷から体内に侵入し、感染を放置したまま長期間経過すると、心臓、血管、脳といった複数の臓器に重大な病変を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

 梅毒による心臓の病変でいちばん深刻なものは梅毒性大動脈瘤です。感染後に治療せず10年ほど経過すると、血流に乗った細菌が大動脈で炎症などの問題を引き起こし、大動脈の壁が弱くなって一部に瘤をつくるケースがあるのです。細菌感染による大動脈瘤は破裂しやすいといわれていて、突然死するリスクも高くなります。

 ほかにも、大動脈が裂けて死亡リスクが高い大動脈解離を招いたり、冠動脈が詰まって狭心症が表れる場合もあります。また、細菌が大動脈弁に巣食うと大動脈弁逆流を起こします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」