イワシに老化防止効果 梅干しと高菜漬けで免疫力をアップ

公開日: 更新日:

旬の恵みを味わう(1)イワシ

 今月のテーマは「旬の食材」です。

 折からのコロナ禍によってさまざまな行動が制限され、外出もしづらくなっています。なので今回は栄養豊富な春の恵みを味わうと同時に、免疫力を高め、ひとつの料理を違った献立に展開できるような提案をしてみたいと思います。

 イワシには老化防止作用のあるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。DHAは主に脳や目、EPAは血管や皮膚を老けさせません。骨を強くするカルシウムや、新陳代謝を促進するビタミンB2なども豊富です。

 そんなイワシを使って梅煮と、素揚げにしてみました。

 梅煮は梅干しと生姜を使った煮物です。アルカリ性食品の梅干しには免疫力をアップする効果があるだけでなく、その酸味はイワシと煮ることで青魚特有の臭みをうま味に変えてくれます。そして梅の酸はイワシの骨を軟らかくします。最初に三温糖を入れることでイワシの組織が開き、味も染みやすくなり、使う醤油も少量で済むのです。出来上がった梅煮を魚焼きグリルの強火でさっとあぶっていただくと、また違った風味でいただけます。

 素揚げは下味をつけたイワシを二度揚げ、高菜漬けのみじん切りを使ったソースをかけていただきます。高菜漬けは乳酸菌を利用した発酵食品ですから、免疫力アップにつながります。揚げたイワシを甘辛に煮付けてもコクが増しておいしくいただけます。

■梅煮

《材料》 
◎マイワシ  4匹(頭、尾、内臓を除く)
◎水  2カップ
◎酒  4分の1カップ
◎生姜薄切り  10枚
◎梅干し  1個
◎三温糖  大さじ1
◎醤油  大さじ1と2分の1

《作り方》 
 イワシの頭、尾、内臓を除き、水気を切っておく。厚手の鍋に水と酒を煮立てたら、生姜と梅干しを加え、イワシを並べて紙蓋をする。三温糖を加えて蓋をし、弱火で10分煮る(写真)。蓋を開けて醤油を加えたら、強火で煮立てる。できれば粗熱が飛んでからいただくとよい。冷蔵庫で2~3日は日持ちする。

■素揚げ

 イワシ4匹の頭、尾、内臓を除いたら、頭を落とした方を左に置き、上面に5本ぐらい下包丁を入れる。レモン汁大さじ3、醤油大さじ3、ニンニクすりおろし小さじ3分の1、黒胡椒少々を合わせた中で30分間マリネする。イワシの水気を抑え、かたくり粉を腹の中にもまぶし、中温の油でさっと揚げる。取り出して3分置いたら、次は高めの中温でカリッとするように揚げる。市販の高菜漬けをみじんに切り、オリーブオイル大さじ3、白ワインビネガー大さじ1、生姜すりおろし大さじ2分の1、胡椒を合わせたソースをかけていただく。

▽松田美智子(まつだ・みちこ)女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。

血中脂質を下げて免疫力をアップ

 生化学の教科書に必ず出てくる有名な実験結果がある。デンマークの研究者が、デンマーク本国人とグリーンランドのエスキモー(イヌイット)との大規模な健康調査を行った。

 すると肺炎、糖尿病、心筋梗塞、胃潰瘍、がんなどの主要な病気の罹患率において、エスキモーが圧倒的に低い数値を示したのである。血液を調べたところ、総脂質、コレステロール、トリグリセリドなどの血中脂質の値が、すべての年齢層で低かった。

 研究者たちは、これが食生活の差であると推定した。エスキモーの人たちは、海産物中心の食べものを食べ、イモや野菜をほとんど取らない。研究者たちはさらに調査を進め、エスキモーの食事には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていることがわかった。

 これらの成分は必須脂肪酸として、血中脂質のレベルを下げ、循環器系疾患のリスクを下げている(血栓をつくりにくくする)。エスキモーの秘密はここにあったのだ。循環器系が健康なら、血の巡りもよく、血液の中には免疫系を支えるリンパ球が流れているので、免疫系も強化されることになる。また、DHAやEPA自体がホルモン的な役割を果たして、免疫系の調整にも作用していることがわかってきた。うれしいことは、イワシのようなDHA・EPAリッチな魚の摂取が多い日本人の食生活はエスキモーに近いといえること。イワシをたくさん食べてコロナ肺炎に打ち勝ちたい。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る