著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

韓国の女優パク・ソダムさんは切除も 甲状腺がんは経過観察でよしの根拠

公開日: 更新日:

 韓国の女優パク・ソダムさん(30)が、甲状腺がん手術を受けたと報じられました。主人公の娘を好演した映画「パラサイト」は、アカデミー賞とカンヌを同時受賞するなど、日本でも話題でしたから、ご存じの方もいるでしょう。

 複数の種類がある甲状腺がんのうち、9割は甲状腺乳頭がん。このタイプは30歳前後の女性に多く、30歳のパクさんは典型です。生理や出産歴など女性特有の原因が影響していると考えられていて、国内の調査でも「初経が若い」「初経から閉経までの期間が長い」などが、高リスクであることが分かっています。

 問題は、手術を受けるかどうかの判断です。甲状腺乳頭がんは、超低リスク、低リスク、中リスク、高リスクに分類され、超低リスクは進行が遅く、生命を危ぶむ恐れは少ない。ガイドラインでも、治療しない経過観察が推奨されます。低リスクは片葉切除が推奨されますが、私がセカンドオピニオンを求められた場合、若い女性には経過観察を推奨することが少なくありません。

 手術が必要なのはごく一部。再発を繰り返したり、悪性度の高いタイプに変わったりするケースです。高齢で発症するほど悪性度が高くなりやすいこともあり、とにかくリスク分類が重要。若い女性は、自然に消えることもあり、若い女性の低リスクは経過観察を勧めるのです。

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