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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【レジオネラ肺炎】病原菌の特定には「水」に関する情報が重要

公開日: 更新日:

 肺炎の原因菌として、肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ菌などさまざまな細菌が知られています。これら一般細菌による肺炎とは別に「非定型肺炎」というものがあるのをご存じでしょうか? その原因になる細菌には、マイコプラズマ菌、クラミジア菌、そしてレジオネラ菌などが挙げられます。非定型肺炎の原因菌は、肺炎治療でよく使われるペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が無効であるため注意が必要です。

 今回は非定型肺炎のひとつである「レジオネラ肺炎」についてお話しします。

 1976年に米フィラデルフィアで在郷軍人集会が開かれた際、参加者と周辺住民221人が原因不明の肺炎にかかりました。一般の抗生剤を使った治療が行われたのですが、結局、34人が死亡しています。

 このとき患者の肺から多数発見された細菌は、在郷軍人(Legionnaire)にちなみ「Legionella pneumophila」と名づけられました。この集団感染事例は、在郷軍人会の大会会場近くの建物の冷却塔から飛散したエアロゾルに起因していたとされています。

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