著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

新型コロナウイルスは「ウィズ・ヒューマン」へ向かっている 医療情報学教授が解説

公開日: 更新日:

 20世紀には、ヒトに感染するコロナウイルスは4種類、約200株だった。普通の風邪(上気道炎)の原因ウイルスのひとつで、風邪全体の3~4割を占めていた。

 多くのヒトがどれかの株に毎年2~3回は感染するといわれていたが、抗体ができにくいこともあって、ワクチンは開発されなかった。大半は無症状で、発病しても数日で全快するため、治療薬の開発も行われてこなかった。つまりコロナウイルスは、人類にとって脅威でなかったので、かえってヒトとうまく共存できたのである。それが崩れたのが、2003年の「SARS(重症急性呼吸器症候群)」であり、2012年の「MERS(中東呼吸器症候群)」だった。

 いずれも野生動物のコロナウイルスから、突然変異したと考えられている。

 しかしどちらも、ヒトのウイルスとしては成功しなかった。ともに致死率が高かったため(SARSで10~20%、MERSで40~50%)、感染者が完全隔離され、結果的に患者数が1万人にも満たずに終息したのであった。

 こうしたコロナウイルスの事例から、医学が進歩した現代にあって、ウイルスがヒトと共存していくためには、いくつかの条件を満たす必要があることが分かる。まず、①「低い重症化率・致死率」②「強い感染力」の2つを満たさなければならない。とくに①が重要である。重症化率や致死率が高いと、社会はあらゆる手段を講じて感染拡大を防ごうとする。今回の新型コロナでは、社会の仕組みすら変えてしまうほどの措置が取られた。

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