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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日本でも重要ながん対策のツボ 米バイデン大統領は死亡率半減を宣言

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 これまで発がん要因のトップは喫煙でしたが、喫煙率の低下によって感染がトップに。発がん要因の割合では、感染が17%で、喫煙は15%になっています。

 感染によって発症するのは胃がん肝臓がん、子宮頚がんです。胃がんはピロリ菌感染が98%、肝臓がんは肝炎ウイルス感染が7割ほど、子宮頚がんはほぼ100%がヒトパピローマ感染。これらは除菌治療やワクチンで予防することができます。

 実際、胃がんは冷蔵庫の普及、上下水道の整備でピロリ菌の感染率が激減。さらに除菌治療も進んで、死者が減少。肝臓がんも、輸血用の血液から肝炎ウイルスを取り除いたり、注射器の使いまわしをやめたりして、死亡率は10年で半減。ウイルスを除去する治療も登場し、肝炎から肝臓がんへの進行を食い止めることができます。

 ところが、子宮頚がんが増加しているのは、副反応問題で一時、HPVワクチンの接種がストップしたためです。ようやく再開された接種を確実に広げることが大切でしょう。

 日本のがん検診受診率は4割で、米国の半分ほど。特に女性が男性より低い傾向で、乳がんや子宮頚がん、子宮体がんの早期発見には、受診率の底上げが欠かせません。大腸がんもそうですが、このがんはメタボ的な生活習慣が影響するものでもあり、メタボ改善の生活が予防につながりますから、生活改善も大切でしょう。

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