著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日本でも重要ながん対策のツボ 米バイデン大統領は死亡率半減を宣言

公開日: 更新日:

 米バイデン大統領は、がん克服を「国家目標」とする演説を行っています。今後25年でがんによる死亡率を半減させる方針です。米国では6年前にすでに大規模な研究事業がスタートしていて、日韓とも連携。それを加速すべく、医療高等研究計画局の設置も発表されました。

 7年前に長男を脳腫瘍で亡くしていて、がん克服への思いが強いのでしょう。中間選挙を前に、分断された国内に共通の目標を掲げる狙いもあるのかもしれません。

 その背景はともかく、がん対策に積極的な姿勢はぜひ日本も見習ってほしい。米国はがん対策がかなり進んでいて、がんの死亡率は2020年までの20年で27%とほぼ3割減です。

 たとえば日本で急増している大腸がんは、日本の2.5倍の人口を抱える米国の方が死亡数が少ないほど。そのほか胃がん肺がん、前立腺がん、子宮頚がんなど多くのがんで年齢調整死亡率が大きく減っています。

 では、日本はどうでしょうか。がん全体の年齢調整死亡率は米国をはじめ海外と同様に減少しています。それに貢献しているのが胃がん、肝臓がん、男性の肺がんです。一方、大腸がん、女性の肺がん、乳がんは欧米より減少率が鈍く、かつて欧米より低かった死亡率が逆転、あるいは同レベルになっています。子宮頚がんに至っては、減少している海外とは逆に増加しているのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 3

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 9

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  5. 10

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」