著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

子宮頸がんステージ2bで手術はNG 世界標準を無視して被害も

公開日: 更新日:

「マザーキラー」をご存じでしょうか。子宮頚がんのことです。毎年1万1000人が罹患(りかん)するこのがんは、若い女性に多く、30代までが4割を占めています。出産年齢の女性の命を奪うため、そう呼ばれるのです。女優の原千晶さん(48)がこのがんと診断されたのは31歳の年でした。

 そこで今回は、子宮頚がんについて。特にステージ2の治療法を紹介します。少々マニアックですが、このがんのステージ2、特に2bに限っては世界の標準治療を無視した治療がなされ、“被害”を受けるケースが珍しくないのです。

 がんの治療法を定めた国際的ガイドラインがNCCN。その2022年版で子宮頚がんステージ2bで推奨しているのは、抗がん剤と放射線を同時に行う化学放射線療法のみです。手術はステージ2aまで。海外ではそれに倣っています。たとえばカナダでは「化学放射線治療が、ステージ2の子宮頚がんのメインとなる治療法」としていて、英国でも「ステージ2bは通常、化学放射線治療を行う」としています。

 スウェーデンの子宮頚がんの治療法を見ると、ステージ2全体では放射線治療が86.0%、手術は7.4%。ステージ2bは放射線治療が89.7%で、手術はわずか4.3%。より放射線治療が中心です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々