鳥居かほりさんは昨年、子宮全摘を選択「40%の確率でがんになると告げられ覚悟を決めた」

公開日: 更新日:

鳥居かほりさん(女優、ダンサー、振付師/57歳)=複雑型子宮内膜異型増殖症

 去年8月に子宮と卵巣の全摘出手術を受けました。56歳になっていましたし、もう子供を産むわけでもないし、悪いものはいっそ全部取った方が気分いいよな、心配もしなくて済むし……と潔く決意しました。

 病気が見つかったのは去年3月でした。コロナ禍でたまたま実家の鎌倉に帰ったとき、ふと思い立ってしばらく受けていなかった市の婦人科検診に行ったのです。そうしたら、「5~6センチの子宮筋腫がある」と言われ、経過観察になりました。

 鎌倉までは通院できないので、東京に戻ってかかりつけの女医先生に診ていただくと、「筋腫は心配ないけれど、内膜が分厚いのが気になる」と指摘されました。そこでMRIを撮り、その画像と紹介状を持って大学病院へ行ったところ、「複雑型子宮内膜異型増殖症」と確定されたのです。

 複雑型子宮内膜増殖症は「単純」ならば約4%、「異型」だと約40%の確率で子宮体がんになるといわれる前がん状態だそうで、子宮と両卵巣の摘出手術を提案されました。びっくりしてセカンドオピニオンを受けましたが、まったく同じことを言われたので「これは覚悟を決めよう」と思いました。

 7月に大きな舞台が控えていたので、主治医と相談して手術は8月頭に行いました。腹腔鏡手術で3時間ぐらいだったと思います。おへそを含めて計5カ所の穴をあけて行われたようですけれど、今となっては蚊に刺された痕ぐらいしか残っていません。

 ただ、腹腔鏡手術はお腹にガス(炭酸ガス)を入れて膨らませた空間の中で行うので、術後もガスがたまっている違和感がありました。その日の夜は尿管がつながっていてトイレに行けないのに、ガスを出したくて……でも出せない……みたいなモヤモヤが続いて、眠れぬ夜を過ごしました。それ以外はぐっすりでしたけど(笑)。

 あとは、お腹がすいて仕方がなかったです。手術前日の昼食を最後に、手術翌日の昼まで食べられなかったんです。看護師さんが来るたびに「めっちゃお腹がすいているんですけど……」とぼやきながら、頭の中で分厚いハンバーガーを思い浮かべていました(笑)。

 私、普段からすごく運動量が多いので、その分すごく食べるんです。朝からカツ丼、普通にいけます。昼はレッスンが激しいので栄養補給ゼリー的なものしか取らないんですけど、夜は夜ですごく食べてすごく飲む。毎日、最低でもワイン1本は飲んでいます。だから、術後のおかゆを経て普通のご飯が食べられるようになったら、すぐ院内のコンビニに行って食べ物を買い込みました。

 そのくらい元気だったけれど、手術で取った検体を調べたらやはり「子宮体がん」になっていたそうです。幸い初期の初期だったので放射線も抗がん剤もなにも治療することなく、8日間ほどで退院できました。退院して2週間後にはダンスレッスンしていました。

 じつは、ダンスの師匠も若い頃に子宮と卵巣をひとつ取っているので、後遺症のことをとても心配してくれました。卵巣を取るとホルモンバランスが崩れて、精神的にも不安定になる人がいるそうなんです。でも、私はときどきホットフラッシュ(更年期の代表的症状であるほてりや発汗)があるくらいで、これといった後遺症はありません。

 そもそも、閉経のタイミングだったのです。子宮筋腫が見つかる前から、もう終わったかなと思ったら、また少し出血がある、という状態が1年弱続いていました。こんなふうに終わっていくものなのだろうと思っていたのですが、「内膜が分厚いのが気になる」と言われたときに、自分でもちょっと気になったのは正直なところです。

■ダンスがあったから前向きになれた

 今は3カ月に1回、子宮の周りの細胞を取って転移がないかを調べているほか、6カ月に1回、造影剤を入れたCT検査をして、ほかの臓器に転移がないかを診てもらっています。まったく薬も飲んでいませんが、毎回すごく丁寧に診ていただいていて問題がないので、健康状態はかなり良好だと思います。

 私もそうですけれど、出産を経験していない人は、婦人科検診から遠のきがちでしょう。でも、面倒くさがらずに行くべきだと思いました。早くわかれば、たとえがんが見つかったって、なんとかなるんですから。

 そして、私にはダンスがあったから前向きになれたのだと思っています。入院中もダンスのことばかり考えていました。というのも、とある劇団から人生初の総合演出を頼まれていたのです。舞台構成から音楽、照明まで考えていたら、アッという間に深夜2~3時。でもそれが「幸せだな」と思えたし、細胞から元気になれた気がします。

 今も11月の公演の稽古で毎日、師匠にしごかれています。

(聞き手=松永詠美子)

▽鳥居かほり(とりい・かほり) 1965年、神奈川県生まれ。4歳からクラシックバレエを始め、22歳で名倉加代子氏(日本を代表するジャズダンサー・振付師)に師事。テレビで活躍後、現在はダンサー・振付師として舞台を中心に活動中。11月17~20日、東京・新国立劇場(中劇場)で名倉ジャズダンススタジオ公演「CAN'T STOP DANCIN'2022」に出演予定。

■本コラム待望の書籍化!愉快な病人たち(講談社 税込み1540円)好評発売中!

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ