言動がガラリ一変…認知症の「日内変動」はなぜ起こるのか

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 人間の「体内時計」は、脳の中心部の視交叉上核という部位にあります。体内のほぼすべての臓器にも体内時計は存在し、脳からの指令によって体内の時間軸を調整しているのです。

 この体内時計によってコントロールされている血圧、心拍数、体温、睡眠などの生体リズムが一定ではなく、一日のうちで変動することを「日内変動」と呼びます。一部の認知症患者さんは症状の悪化によって生活リズムが乱れたり、精神的にストレスがかかりやすく、極端な日内変動が起きてしまうケースがあります。一日のうちに認知機能や運動機能に大きな変動が表れてしまうのです。

 とくに朝と夜で症状の変動の差が出やすいのが「レビー小体型認知症」です。このタイプは脳内のドーパミンが不足し、幻覚や手の震え、動作・歩行困難といったパーキンソン症状が認められるのが特徴で、夕方から夜にかけて悪化しやすいといわれています。そのため、朝は物静かだった患者さんが夕方になって、興奮状態になることがあります。

 一方、「アルツハイマー型認知症」の患者さんは比較的、日内変動が少ないといわれています。ほか、「脳血管性認知症」は症状のひとつに一時的に感情が高ぶる感情失禁があります。また、理性や感情をコントロールする前頭葉が萎縮することで理性的な行動ができなくなる「前頭側頭型認知症」では、症状のひとつに暴力などの反社会的行動があります。どちらも、急に起こるケースはみられるものの、毎日必ず起こるわけではなく、朝夕で変わるといった性質でもありません。

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