認知症の非薬物的療法にはどのような効果があるのか?

公開日: 更新日:

 認知症の患者さんは、生活環境や対人関係による不快な刺激が抑うつ、せん妄、攻撃、不眠、徘徊(はいかい)などの症状に強く現れます。介護者は、患者さん本人や取り巻く環境を見直し、徘徊などの行動や心理症状の原因となる環境要因を取り除く必要があります。

 そのひとつとして、非薬物的療法があります。薬物を用いないリハビリテーションや心理療法などのアプローチで、「回想法」「音楽療法」「運動療法」が知られています。

「回想法」とは、過去の記憶を呼び起こして脳に刺激を与えることで、認知症の進行抑制が期待されます。患者さんは直近の記憶は失われますが、長期記憶は残っていますから、子供の頃の思い出や、学生時代、会社員時代のエピソードを写真や思い出の品などを見ながら会話するといいでしょう。介護者は患者さんの話を否定せずに本人が言いたいことを楽しく話せるよう心掛けてください。これによって認知機能テストの結果が改善するわけではありませんが、うつ状態になっている気分を上げる効果も認められます。

「音楽療法」は、音楽を聴いたり楽器を演奏したり歌う行為を通して、リラックス作用をもたらすアプローチです。認知症患者さんが音楽を楽しむ能力は最後まで保たれるといわれています。高齢者施設の顔見知りメンバーで一緒に歌ったり楽器を奏でることで、気分が高揚し、社会性も身に付きます。イライラや幻覚などによるストレスが軽減し、攻撃的な行動や集中力低下の改善が期待されます。患者さんが若い頃に好んでいた歌謡曲のCDを流したり、楽器を演奏するならタンバリンやマラカスといった振るだけで簡単に使えるものがいいでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も