著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【トコジラミ】駆虫薬への耐性を持った「スーパー南京虫」が増えている

公開日: 更新日:

 ここ3回、続けてシラミについてお話ししてきましたが、今回はトコジラミを取り上げます。

 ヒトに寄生・吸血するシラミは、アタマジラミ、コロモジラミ、ケジラミの3種類です。じつはこのトコジラミは「シラミ」と命名されているものの、シラミ目ではなく、カメムシ目トコジラミ科の昆虫で、カメムシの仲間なのです。「ナンキンムシ」(南京虫)と呼ばれることもあります。

 トコジラミは世界の温帯地域に分布していて、日本には江戸時代末期に外国船によって持ち込まれたといわれています。トコジラミにとって最適な温度は25度前後ですが低温と飢餓に強く、10度で1年以上、0度で約6カ月、未吸血でも生きることができます。1970年代には被害がいったん減ったものの、最近また被害が増えているともいわれています。吸血時に注入される唾液物質のアレルギー反応によって強烈なかゆみが起こり、皮膚に赤い発疹が現れます。

 トコジラミは、昼間は部屋の壁や柱の割れ目、家具の隙間などに潜んでいて、夜間にそこからはい出してきて吸血し、吸血が終わると元の潜んでいた場所に戻ります。

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