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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクを常に着用する場合の「害」の検討はなぜ難しいのか

公開日: 更新日:

 引き続き、学校現場でのマスク着用についてである。「マスクの着用を求めない」というガイドラインの(注1)記述は、学校という場所においては、マスクをしてもしなくてもよいというよりは「しないほうがよい」というニュアンスがあるのかもしれない。学校からのおすすめは中立であるように見えても、現実には強制力がある。「マスクをしろ」というのでなければ、「マスクをしないほうがいい」という方向に振れやすい。

 現場側もそうしたことを踏まえての良く考えられた表現なのだろう。このような感染対策の方向転換の背景には、前回でも指摘したように、マスクの「害」の問題がある。今回はそのマスクの害について取り上げる。

 マスク常置着用の身体的な面での害については、小児科学会のガイドライン1)で以下のように触れられている。

「マスク着用により誤嚥や窒息の危険性がある子ども(特に2歳未満や障害のある場合)は、自ら息苦しさや体調不良を訴えることが難しく、自分でマスクを外すことも困難な場合があります。また、正しくマスクを着用することができないと、期待した通りの感染予防効果が得られないこともあります。

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