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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

古村比呂さんは16回目の治療…がんの種類やタイプによっては「抗がん剤」で長生きできる

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 古村さんは、こうした治療を適切なタイミングで受けることで、元気に頑張ってらっしゃるんだと思います。ブログには息子さんとのやりとりや動画編集に精を出したことなど生活を楽しむ様子がつづられています。

 実は古村さんのようなことは決して珍しくありません。がんの種類やタイプによっては、抗がん剤がよく効いて、長生きできます。

 たとえば競泳池江璃花子さんは2019年に白血病であることを告白しましたが、抗がん剤治療の末、東京五輪に出場したことは世界的なニュースになりました。白血病は大きく4つのタイプに分けられ、そのうち急性リンパ性白血病の治癒率は8~9割。そのうち7割近くが抗がん剤で治ります。

 女優の南果歩さんは17年の乳がん啓発イベントに参加した際、自らのステージ1の乳がん治療について「ハーセプチンという抗がん剤治療をストップし、抗女性ホルモン剤の投薬もストップしています」と語っていました。

 この治療の組み合わせから分かるのは、乳がんの遺伝子タイプのうちルミナルBというタイプです。これは、分子標的薬のハーセプチンも、ホルモン剤も効きやすい上、乳がんステージ1の再発率は10%。9割は再発しないわけですから、治療をストップする選択肢も十分ありえます。

 抗がん剤治療や分子標的薬などがんの薬物治療はここまで進歩していますが、自分が薬物治療に効くタイプであることを選ぶことはできませんから、まずは早期発見を心掛けて、胃がん大腸がん肺がん、乳がん、子宮頚がんについては、がん検診を受けることが大切です。

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