著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

克服には親の「傾聴」「共感」こそが特効薬になる

公開日: 更新日:

 思春期や青年期は、子ども特有の「なんでもできる」といった万能感が壁にぶつかり、理想と現実のギャップに健全な葛藤や挫折を生じる時期でもあります。成功体験に喜び、自尊感情を高める一方で、自分と友達との能力の差を感じて自信を失ったり、思わぬ失恋で自尊心が傷ついたり……それでも、周囲の大人や友人たちの力を借りるなどして適切にそれらのつらい感情を処理しながら、挫折を受容し乗り越える中で、「自分とはどういう人間なのか?」「どう生きるべきなのか?」を試行錯誤しつつ探るプロセスこそが、若さの苦しさであり、また素晴らしさでもあるのだと思います。

 しかし「感情不全」の状態に陥ると、プラスもマイナスも感情が機能しないために、成功も挫折もまともに経験できないのです。

 厚生労働省の調べでは、ひきこもりの約8割はなんらかの精神障害を有しているとの報告もなされています。では、精神科に通院すれば解決するのでしょうか? ことはそう単純ではありません。本人に現状をなんとか解決したいという意思があり、かつその感情不全の病理が軽度であれば、きっと精神医療は足を引っ張る症状の緩和を通じて強い味方のひとつとなってくれることでしょう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「二刀流」大谷翔平と「記録」にこだわったイチロー…天才2人の決定的な差異

  2. 2

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  3. 3

    元フジテレビ長谷川豊氏“危機管理のプロ”が古巣告発は禁じ手? 大反響の動画チャンネル行脚の裏事情

  4. 4

    2人の殿堂入りは確実…大谷翔平&イチロー「軌跡」にこれだけの酷似点

  5. 5

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  1. 6

    26億円投入のお台場巨大噴水事業が「フジ日枝案件」と露見…小池都知事による激怒と錯乱と珍答弁

  2. 7

    “かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

  3. 8

    実にゆったりと楽そうに歌っている感じがする

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    岩井姉妹らツアールーキーたちを狙い撃ち? まるで嫌がらせ…米女子ゴルフの「厳しい洗礼」はトラウマ級