著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

打たれ弱い子どもの心のメカニズム…「感情不全」に陥っている

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 もし、凄惨で陰湿ないじめやブラックな職場での辛辣な経験に一時的に苦しんだとしても、その後、多くの人の協力を得てその苦難を乗り越え、新たな場所で自分らしい充実した毎日を送られている方もおられます。同じ出来事や環境であっても、なぜ一部のお子さんにはその影響が重くのしかかり、乗り越えられないといった事象が起きるのでしょうか。

 20年前は不登校ひきこもりは、ぜいたく病や甘え、怠けという意見もよく聞かれていましたが、私自身はこうした問題の背景には、お子さんが健全な心の使い方をできない「感情不全」の状態に陥っていることが本質だと確信しています。

■「感情不全」が不安、恐怖、屈辱感を膨れ上がらせる

 誰もが“当たり前”だと思うような普通の感情処理ができない感情不全では、後述のように自己嫌悪や絶望感、不安や恐怖、屈辱感や虚無感といったネガティブな感情が膨れ上がり、またいつまでも消えません。その苦しさや想像を絶するつらさのため、非常にしんどい逆境体験はおろか、日常の小さな失敗やささいな中傷、そこまで思い悩むことではないようなわずかな挫折にも打たれ弱くなり、「とにかくこれ以上傷つかないように」とリスク回避ばかりを追い求めた結果、行き場を失い、生き方そのものまで身動きが取れなくなってしまうのです。そして不登校やひきこもりは、その一環で起きている行動面における一事象と言えるのです。

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