著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

歪んだ「二次感情」はどんな思考や行動をもたらすのか?

公開日: 更新日:

■マイナス感情の抑制常態化はプラス感情の感度低下を招く

 また、苦痛だからとマイナスの感情を感じないように押し殺し続けていると、プラスの一次感情に対する感度も連動して低下しますので、何をやっても以前のようには「楽しめない」「達成感を感じない」というプラス感情の感度低下が生じます。感情の感度低下は、連動する身体感覚の感度低下にも波及していきます。そうなると、日常のなにげない小さな喜びに深い幸せを感じて味わうなどということはできず、健康的な事象には無関心・無感動になります。同時に、ゲームやギャンブル、買い物、過食といった依存性の強いジャンキーなことでなければプラスの感覚が刺激されず、結果、依存症に陥ったり、万引きやケンカなどの反社会的行動の快感を追い求め止まらなくなったり、中にはリストカットのような自傷による体感刺激で辛うじて「生」を感じられて刹那的な安心を得るという方もいます。

 暴飲暴食に走る人もいます。健全な味覚も鈍っていますから、健康食品や精進料理を暴食する人はおらず、手を出すのは不健康そうな甘い、しょっぱい、辛いといったジャンクフードばかりです。それすらろくに味わっておらず、そのためいつまでも満腹感が湧かずに食のコントロール不良がエスカレートしたのが過食症という病気です。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも