著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

過度の「リスク管理」は子どもの自立の妨げになる

公開日: 更新日:

 赤ん坊が何度もコテンコテンと転ぶ姿を、「愛情」が故に危なくて見ていられないと歩くことを許さなかった結果、いつまでも歩き方がわからないまま転ぶ怖さを恐れてついには自ら歩くことさえできないまま大人になった……。極端だと言われるかもしれませんが、私には起きていることの本質は、ひきこもりとまったく一緒だと思えてなりません。

 そして、今、大人になっても歩けないままのわが子が必要とする介助を「甘やかし過ぎ」と揶揄する態度までも。この「愛情」は真の愛情だったのでしょうか? それとも親のエゴだったのでしょうか? もちろん本当に危ない行為もありますから、リスク管理は不可欠です。一方で、過度のリスク管理は自立を阻みます。この境は、お子さんの性格や特性、発達といった個人差があるため非常にわかりにくい。でもお子さんのそれに合っていなければ、過度の安全マージンによって健全な自立が阻害されることは事実で、そして心の成長においても同じことが言えるのです。

 こう話すと、じゃあ「子どもの好き放題にさせればよかったのか」と極端な反論をすぐにしてこられる親御さんも多いのですが、この言葉自体が、感情不全についての理解に非常に乏しいことを示す典型的な言葉と言えます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘