著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

親が身につけるべき「正しい話の聴き方・伝え方」10原則~①

公開日: 更新日:

①話の「さえぎり」「反論」は厳禁

 さて、具体的に心を閉ざしてしまったお子さんには、どうすればいいのでしょうか?

 あくまでも子どもの思っていることを吐き出させ、素の一次感情を表出させることが最優先なのなので、子どもの発言が正しかろうが間違っていようが、それが時に聞いている親にとってとてもつらい気持ちが喚起されたとしても、まずはできるだけひたすら聴く姿勢を貫き通してください。 子どもの方から「どう思う?」「どうしたらいい?」と尋ねてくるまでは、助言も意見も控えましょう。子どもの話の内容や解釈が間違っていても、「それってこういうことじゃないの?」などと「質す」こともしてはいけません。

 「先回り」したり、理屈で正論を諭すのはたとえその内容は正しかったとしても、コミュニケーションのタイミングとしてNGです。発言だけではなく、お子さんの行動がたとえ未熟で失敗するのが目に見えていたとしても対応の基本は同じです。まずは自分でやってみて失敗しなければ学ぶことすらできません。「こうすれば失敗しないのに」と、頼まれてもいないのに何でも親切心のつもりで口出しされる親御さんも目にしますが、目先の行動に関してはそれでうまくいくかもしれませんが、成功しようが失敗しようが、その経験を通じて人としての成長につながる、それ以上に大事な気づきや学びの機会を奪う、ただの自己満足にしか過ぎないと猛省すべきです。

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