健康寿命は経済力で決まる(3)入院中の食事代に見る日本の貧しさ

公開日: 更新日:

 しかし、病院の台所は厳しい状況が続いています。食料品の値上げラッシュはとどまることを知らず、しかも急激な円安による輸入食材の急騰、さらには米不足も加わって、ほとんどの病院で給食は赤字に陥っています。

 家計を預かる奥さんたちは、1日の1人分の食費が2010円なんて、高すぎると思うかもしれません。しかし病院給食には、管理栄養士や調理師の人件費が上乗せされますし、患者ごと、病気ごとに献立や材料を変える必要も生じます。手間と金がかかるのです。

 このままの状態が続けば、多くの病院が食材の質を落とさざるを得ないでしょう。「まずい病院食」の復活です。保険からの給付金を増やせば、と思う人もいるはずです。しかしそれは、現役世代の健康保険料をさらに引き上げることにつながります。そうなればワンコイン弁当すら、贅沢になってしまうかもしれません。

 インバウンドの昼食代にも満たない金額で入院の3食を賄わなければならない。築地で見られる日本の貧しさは、かたちを変えて、医療の世界にも影を落としているのです。 =つづく

(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科・永田宏教授)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃