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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「血液型」でがんのリスクが予想できる時代が近づいている

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 血液型の発見は1901年(文献によっては1900年)、病気との関連について研究が始まったのが1920年ごろからです。当初は結核、ジフテリア、発疹チフスなど、感染症との関係について調べられていましたが、1950年代に入って、がんに関する研究が、イギリスで始まりました。

 大学病院などに入院していた胃がん患者の血液型を調べるという単純なものでしたが、A型がO型よりも胃がんリスクが高いことが示唆されました。また同時に、O型が胃潰瘍や十二指腸潰瘍になりやすいことも、明らかになりました。

 この成功を受けて、がんと血液型の研究が、西ヨーロッパを中心に、本格的に始まったのです。しかしその大半が、1カ所ないし数カ所の病院の入院患者を対象としたものだったため、サンプル数が少なく(数十人から1000人規模)、統計的に有意な違いが出なかったり、まったく逆の結果になることもありました。そのため20世紀末の時点では、がんと血液型は無関係か、あったとしてもわずかな違いにすぎない、と結論づけられたのです。

 ところが今世紀に入ってから、状況が一変します。医療のIT化が急速に進んだ結果、欧米を中心に、巨大な患者データベース(100万人規模)が作られるようになったのです。また特定地域の住民(10万人規模)の健康状態を長期間にわたって記録する「コホート(集団)調査」も盛んに行われるようになりました。それによって、前世紀には考えられなかった規模と精度で、血液型とがんの関係を調べることが可能になってきたのです。

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