(9)自分で車を運転して元気いっぱいに出かけていた母が…

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 救急搬送された際、母がレビー小体型認知症であろうと診断され専門医院での診察予約ができる日を待っていること、ひとりではとうてい生活できそうになく同居の父は助けになりそうにないことなどを説明しておいたのだけれど、結局、この在宅復帰支援担当者は、最後まで私になんらコンタクトを取ってくれることはなかった。

 さらに、退院の際に看護師が、母の実際の様子はそうでなかったにもかかわらず「跳んで歩くほどお元気ですよ」と発言。加えて、後日送られてきた請求書が非常に高額で、A救急病院にはすっかり不信感を抱いてしまった。

 しかし、これらを超えてショックを受けたことがあった。請求書に書かれた「オムツ代」という言葉だ。車を走らせ、元気いっぱいにパークゴルフに出かけていた頃の母親とこの言葉とのギャップが激しすぎて、私は何かに傷つけられたような複雑な気持ちになった。今起こっている現実を納得するまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

 もうひとつ問題が生じた。父から、ずっと具合が悪くて寝ており、猫に餌をあげる時だけなんとか起きているとメールが来たのだ。しかし、病院に行くことも往診も恥だと言って拒否するので、遠くにいる私は何もできないのだった。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

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