(10)突然の「明日退院」。父は頼りにならない…母の面倒はだれが

公開日: 更新日:

 示された日付は、母の退院からちょうど10日後。「ただし、東京に住んでいる娘さんは決してお母さまと接触しないでください、もし接触したら診察できません」と言われてしまった。時は2020年8月のお盆前。ここでも新型コロナウイルスによる制限が立ちはだかってきた。

 コロナ禍でなければ、パソコンを抱えて実家に帰ればなんとかできるかもしれない。しかし私が帰省するわけにはいかなくなった。10日間もできてしまう空白期間をどうしようと頭を抱えた。

 ひとりっ子なので、他に頼れる人の当てもない。そこで、母が熱中症で入院してからというもの、何かと気にかけてくれていた3人の叔母たちに相談すると、「お母さんの退院日からS認知症専門医院の診察までは私たちが請け負うよ!」と立ち上がってくれた。

 母が妹たちと仲が良いことは知っていた。前年秋に近所の友人が急逝し、落ち込みがちになっていた母が、朝から晩までかける「さびしい」という長電話に気長につきあってくれていたことも聞いていた。

 さんざん迷惑をかけていただろうに、手伝いを申し出てくれて本当にありがたいことだった。(つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い