著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

禁煙をしたいときは「損失回避バイアス」を考えるように

公開日: 更新日:

 厚生労働省の調べによれば、6割近くの喫煙者が「禁煙したい」「本数を減らしたい」と答えていることが判明しています。それにもかかわらず、吸い続けてしまう──。その理由は、以下の3つのバイアスによるものだと、行動経済学者で青森大学の竹林正樹氏は説明しています。 

①現在バイアス(目の前にたばこがあると「1本くらいいいかな」と衝動的に飛びついてしまう)

②同調バイアス(周りに喫煙者が多いと、「周りも吸っているんだから」とやめられない)

③楽観性バイアス(たばこのパッケージに「喫煙によって肺がんリスクは4倍」と書かれていても、「私はそうはならない」と楽観的に考えてしまう)

 このように、喫煙者の大半は喫煙の害を知っていても、認知バイアスによって禁煙ができないと考えられています。

 では、どうすれば歯止めをかけられるのか?

 その際に効果的なのが、人が「利益を得る喜び」よりも「損失を避ける悲しみ」を強く感じる心理傾向「損失回避バイアス」を利用することです。毒は毒をもって制すではないですが、バイアスにはバイアスで対抗するのです。

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