「移動」の訓練を担う理学療法士にコミュニケーションも欠かせないのはなぜか
■階段の上り下り訓練も重要
「座る」「立つ」ができるようになったら、迅速に「歩く」を行います。理学療法士がハンドリングしながら歩いてもらうことで、いままで使っていなかった足首、膝、股関節、脊椎、肩、肘、手首など、さまざまな関節部分の可動域が広がっていきます。
最初は平行棒内から訓練室を歩いたり、病棟内でトイレや食堂まで歩行するところからスタートして、早期に連続100メートルを3~4本歩けるように歩行距離や時間を延ばし、屋外に出たり、並行して段差や階段の昇降訓練を実施していきます。退院後、就労可能な年齢の患者さんであれば、階段や段差の上り下りは仕事復帰につながりますし、高齢の患者さんでも自宅の日常生活において欠かせない動作です。
こうした訓練も含め、リハビリを行っている際に重要なのが「コミュニケーション」です。訓練の最中もなんらかの作業をする際も、常にあいさつや声がけをしながら進めます。歩行訓練では「イチ、ニ、イチ、ニ」と一緒に声を出したり、「どこか痛いところはありませんか?」「今日は調子がいいですね」といった簡単な会話をするなどしてコミュニケーションをとり続けます。回復のためには脳に快適な刺激を与えることが重要なのです。