医者にもかかれない人たち…令和の「貧窮問答歌」
番組が想定する患者の背景は「貧窮問答歌」ばかり。高校生の娘のためにコンビニで掛け持ちバイトするシングルファーザー、クリスマスの日もコンビニ勤務で一人息子が待つ家に帰れないシングルマザーと、家庭環境の厳しい設定ばかりでした。
病気が治って掛け持ちバイトを増やす父親、コンビニ勤務に頑張る母親の姿がハッピーエンドの「絵」として、番組が締めくくられていました。「病気は治ったんだろうけど、根本原因はそのままじゃん!」「貧困は万病のモトだよなぁ」と思った視聴者もいたことでしょう。
病気の原因は他にもあります。精神的ストレスです。会社の上司の嫌がらせ、理不尽な配置転換、単身赴任の転勤命令。厳しい職場環境で心臓病を発症した患者さんを何人も診てきました。この社会は、家畜のように働かされ、不満を言うとすぐに懲罰を受ける「畜人」であふれかえっているように感じます。黒沢明監督の「赤ひげ」(1965年)が描いた江戸時代の病人のさまざまな背景は、今も少しも変わらないのです!
アメリカの大統領を支持する人は「コツコツ働いても報われない人たち」で、大学出のインテリ「リベラル層」が独占している特権を取り上げてくれる、と固く信じているそうです。