「脳の陰の支配者」グリア細胞はアルツハイマー病にどう関わっているのか

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「アミロイドβは、APPと呼ばれる膜貫通型タンパク質から酵素によって切り出されたもので、毒性の高いタイプが脳内に蓄積すると病態が進行します。一方、タウは微小管に結合し細胞の構造と細胞内輸送を支えますが、異常なリン酸化により不溶性に変化するなどして凝集しやすくなり、神経原線維を形成する。いずれも神経細胞の障害・死滅につながると考えられています」

 従来の「アミロイドβ仮説」では、アミロイドβの蓄積が神経障害の引き金となり、最終的に脳の萎縮と認知症を招くとされてきた。実際、アミロイドβを標的とした治療薬のレカネマブ(2023年)、ドナネマブ(2024年)が承認され、いずれもAD発症を遅らせることが報告されている。しかし、現実にはこれらの病理所見があっても症状が現れない例も複数報告されており、承認された薬を投与しても大きな効果がみられないケースもある。そのため、原因と結果の関係性はいまだに完全に解明されているわけではないとの意見もある。

「アミロイドβ=認知症という単純な図式に疑問を投げかけた例の一つが、101歳の米国修道女の例です。彼女は生前認知機能にまったく問題がなかったのですが、死後の脳解剖でADの典型的な病理変化である老人斑と神経原線維変化が確認されたのです。これは規則正しい生活を送る修道女を対象に、生前の認知機能と死後の病理を比較することで、ADの本質を探ろうとした大規模疫学研究で明らかにされたものです」(根来医師、以下同)

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