患者にフィットした「車いす」が回復のために重要なのはなぜか
まず、その患者さんの身長とBMI(肥満度を表す体格指数)から最適と予測できるサイズの車いすを準備してベースにします。そこから、患者さんの座位臀幅(臀部の一番広い幅)、座底長(臀部後端から膝裏までの長さ)、座位下腿長(踵から膝裏までの長さ)、座位肘頭高(座面から肘までの高さ)、座位腋下高(座面から脇の下までの高さ)などをすべてきちんと計測したうえで、調整していきます。BMIは体重以上に座位臀幅の予測評価に有益です。
■快適でないと日中に起きて座っていられない
先ほども触れたように、その患者さんに車いすがしっかりフィットしているかどうかによって、その後の回復や生活の快適さがまったく変わってきます。
当院では、入院されているすべての患者さんに対し、「夜の就寝時間以外、昼間は起こす」ことを実施します。先ほど触れたリクライニング型の車いすを使っている重症患者さんも、昼間は起こして、座って、立って、歩いてもらいます。それによって、脳が刺激を受け、身体機能が活発になり、筋力や体力が上がっていって人間力が回復していくのです。