(2)めまい発作の原因「耳石が三半規管で動く」を回避する
①内耳の耳石器から耳石がはがれる
②耳石が三半規管にこぼれ落ちる
③耳石が三半規管の中で動く
内耳は耳の最も奥にある器官で、そこにはお皿のような耳石器があります。耳石器の上にはゼリー状の膜によって耳石がくっついており、耳石器の動きに合わせて耳石がずれることで、私たちは体の動きや位置を認識しています。
ところが加齢などで耳石器から耳石がはがれると、その耳石が三半規管にこぼれ落ちやすくなります。そして、体の動きに応じて三半規管の中で耳石が大きく動き、そのタイミングでめまいが生じるのです。
つまり、3つのステップのうち①が起こっても、②と③が起こらないようにすれば、めまいが生じにくくなります。はがれた耳石が三半規管に最もこぼれ落ちやすい体勢は「横になる時」です。そして三半規管の中で耳石が大きく動く体勢は「寝た状態から起き上がった時」や「頭を大きく動かした時」です。ヘッドアップ就寝治療は、「横になる」「寝た状態から起き上がる」という体勢を取らないための方法になるのです。 =つづく
(奈良県立医科大学付属病院めまいセンター長/同大耳鼻咽喉・頭頸部外科学教授、北原糺医師)