「腸」と「筋肉」の関係…アスリートや高齢者にはどんな特徴があるのか
最近では筋肉を作る腸内マイクロバイオータ(腸内細菌叢)の働きも高齢者の筋肉の衰えに関係していることが明らかになりつつある。
順天堂大学の研究チームによると、腸内細菌叢データを持つ65歳以上の男女356人をサルコペニア群、非サルコペニア群に分けて調べたところ、男性サルコペニア群では腸内細菌叢の多様性が低下、酪酸産生細菌群の占有率が低下していることがわかったという。
これらの細菌群は筋力関連指標と正の関係にあった。しかし、女性サルコペニア群ではそのような特徴は得られなかった。
「サルコペニアとは加齢によって筋肉量と筋力が低下して身体機能が衰える状態を言います。この研究から少なくとも男性においては、食事を改善して腸内細菌叢に変化をもたらすことがサルコペニア予防につながる可能性があるということです」
■サルコペニア予防の基本は食事
では、どのような細菌叢を増やすように努力すればいいのか?
現在、筋肉の合成や回復に関わっているとされるのは、短鎖脂肪酸のひとつである「酪酸」(筋肉の炎症を抑えたり、筋タンパク合成を促進)、「ベイロネラ属」(運動で生じた乳酸をプロピオン酸に変えエネルギーとして再利用)、「バクテロイデスユニフォルミス」(酢酸やプロピオン酸を作り、細胞内のTCA回路を活性化して筋肉のエネルギー供給を助ける)、「フィーカリバクテリウム属」(筋肉の炎症を抑える)などがある。