著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」名誉院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

(2)ちぎれて取れなくなった靴ひもを抜いて…性的欲望は底深い

公開日: 更新日:

 ほかにも、尿道にガラス棒や水銀体温計を入れて取れなくなった、割れたら大変だから抜いてくれ、と女性を伴い駆け込んでくる男性もいました。

 医学生だった頃、東大の有名な泌尿器科の先生が、「この世の中で、膀胱の中にないものはない」とおっしゃっていましたが、本当でした。尿道から入れた異物が取り出せない状態を「尿道異物」「膀胱異物」と言います。どういうわけだか、人は尿道にものを入れたがるようです。

 異物は、ストロー、コード、糸、体温計、鉛筆、針、箸、綿棒などさまざま。人間の性に対する底知れぬ欲望を知り、驚きの連続です。玩具を肛門に入れて抜けなくなったなんてことは日常茶飯事でした。

 父親が中学生の子供を連れてきたこともありました。

「この野郎、ガキのくせして大事なところから膿を出してやがる。父親もなったことのない病気にかかりやがって!」

 父親の怒鳴り声が診察室に響きます。この子は淋病でした。

 父親を診療の邪魔だからと診察室から連れ出した後、「相手は誰? その人も治療しないといけないからね」と聞くと、小声で「塾の先生」と言います。予想外の言葉でした。「治療するよう伝えてね」と返すのが精いっぱいでした。

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