(8)大丈夫と思い込んでいる親を説得するのは、専門家でも難しい

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「理論はわかりました。では、自分は大丈夫だと思い込んでいる高齢の親をどう説得したら良いのでしょう?」

 気合を入れて挙手をした。選ばれたのは別の人だった。よし次こそ。と思っていたら、この人がまったく同じ質問をした。やはり自分の親の意固地さに苦労しているらしい。あら、みんな同じなのね。さて答えやいかに?

 期待いっぱいに答えを待っていると、先生は苦笑いを浮かべ自虐的に語った。

「大変難しい質問です。そこに皆さん苦労されています。実は私も自分の親を上手に説得できていないのです」

 おいおい……。ずっこけそうになった。

 そういえば、自分が過去に取材してきた生活習慣病対策の現場も「こうすれば改善する」とわかっていても、それを相手に理解させ行動変容を促すことが最も難しいとの声を何度も聞いてきた。思い込みの強い高齢者が相手ならなおさらだ。

 今後に不安を感じながらも、取りあえず回復期リハビリテーション病棟の調査から始めることにして家路についたのであった。

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