90代の母親が60代の息子を介護…「老々介護」の現実
少子高齢化が進む我が国では、高齢者介護のあり方もその影響を大きく受け、さまざまな介護のスタイルが生まれています。その中でも、ひときわ象徴的なのが「老々介護」です。
これまで老々介護といえば、高齢の夫婦がお互いを介護し合う形を指すことが一般的でした。しかし近年では、高齢の親を、やはり高齢となった子どもたちが支えるケース、あるいはその逆も増えています。在宅医療を始めた方の中にも、こうした老々介護のご家庭は決して少なくありません。
今回の患者さんは、65歳の男性。過去に心筋梗塞を発症し、それが慢性化して心筋に傷痕が残る「陳旧性心筋梗塞」を患っていました。通常は無症状で経過することが多いものの、日常生活動作や作業時に胸痛が現れる場合もあります。
その息子さんを介護しているのは、90代のお母さまでした。どうやら医者嫌いのご様子で、往診に伺っても病状を詳しく話したがらず、状態が悪化してもかたくなに認めようとしません。
年が明けた正月、1月3日のことです。突然「状態が悪くなった」とお母さまから連絡があり、急きょ自宅へ伺うことになりました。


















